2011年11月13日日曜日

上昇志向の韓国人が切り開く未来

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朝鮮日報 記事入力 : 2011/11/13 09:23
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2011/11/13/2011111300085.html

【コラム】上昇志向の韓国人が切り開く未来

 韓国人が自ら批判していることでも、外部からは羨望(せんぼう)のまなざしで見られていることがある。
 代表的なのが教育熱だ。称賛しているのはオバマ米大統領だけではない。
 大阪府知事は教育熱を学ぶため昨年、韓国を訪れた。
 知事が視察した所には外国語高校もあった。知事はこの時、インタビューで
 「これほどの語学力を持つ生徒が一つの学校から1年間に400人ずつ輩出されるということが韓国躍進のきっかけ」
と語った。
 先日インタビューした武田薬品の社長も
 「豊かさに浸った日本の若者は、英語どころか日本語さえ怪しい。
 韓国の若者は英語は基本で、日本語も話せることが多い」
と言った。
 韓国の大学から人材を採用しているという話をしていた時に飛び出した愚痴だった。

 「外国人が事情をよく知らないで言っているのだろう」
と考えることもできるが、必ずしもそうでもない。
 日本もかつて異常な教育熱を経験しているからだ。
 それでも彼らが韓国をうらやむのは、強要であれ何であれ、結果として表れている児童・生徒・学生の学習熱や達成欲ではないだろうか。
 韓国の若者を見ると、豊かさの中で達成欲を失っていくフニャフニャな日本の若者は本当にいただけないと思う。

 今年3月から保育園に通い始めたうちの3歳の子供は、最近
 「たくさん、たくさん、ユン(自分の名前)の物」
 「ユンが一番」
という言葉をよく言う。
 保育園の年上の子供たちに教わったようだ。
 こういう子供に
 「違うよ。豆1粒でも分け合って、いつでも譲ってあげなければいけないんだよ」
とは言わない。
 自分勝手で悪い子になれという意味ではない。
 韓国が発展のさなかにある以上、獲得しようという所有欲や、人より先を行こうとする達成欲がまだまだ必要ではないだろうか、という考えからだ。

 韓国は今、とても感傷的になっている。
 「子供たちに気兼ねをさせながらも無料給食を食べさせるべきか」
という常とう句が
 「サムスン電子・李健煕(イ・ゴンヒ)会長の孫にまでタダ飯を与えなければならない」
という論理に飛躍する。
 幼心を癒やすためなら数兆ウォン(1兆=約670億円)でも投入できる、度量の大きな国になった。
 韓国が先進国なら、もちろんこれほど良いことはない。
 しかし、韓国はまだ目標に向かって走っている国だ。
 これまでの20年間と同じように、これからの20年も、何かを達成しようという、上昇志向の強い若者たちが主人公になり、国を成長させる通過点になるだろう。


 上昇志向を鼓舞すれば、当然のこととして大学進学率80%ということになる。
 残された20%の青年は屈辱に耐えることになる。
 差別化されていく。

 そして上昇志向は就職先の上昇志向に繋がり大企業へと殺到する。
 でも、皆が大企業に入れるわけではない。
 そこから漏れた青年は負け組になる。
 青年は3年、4年と大企業への就職活動をする。
 就職浪人である。

 どうにも大企業に入れなかったヤツが中小企業に回る。
 青年の心の中ではもう、不満と怨念しか残っていない。
 崩れ倒れた精神状態の中で人生を過ごすことになる
 それがいやで、永久に就職せずその場しのぎのアルバイトで人生を過ごす者も出てくる。

 社会崩壊の原点とは「上昇志向」にある。
 永遠に右肩上がりの上昇が続くわけではない。
 韓国はもうピークを過ぎている。
 日本と同じだ。
 いかにソフトランデイグさせるか、
 それが社会の求める一般解である。
 そういう時代に入ってきている。

 それが見えないというのが、韓国社会の不幸だろう。
 というより、見ようとしないのだろう。
 なぜなら、正しく自己を見たらなまりにもかわいそうになってしまうからだろう。
 そいう立場を容認する空気が残念ながらこの国にはない。


朝鮮日報 記事入力 : 2011/11/13 10:29
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2011/11/13/2011111300140.html

「中小企業勤務では名刺も出せない」
韓国の大学生たちの声

 2009年に首都圏の専門大学(短大に相当)を卒業したキム・ソンウさん(24)=仮名=は、3年にわたり就職できずにいる。
 来年上半期中に就職できなければ、大学院に進学するつもりだという。
 自宅近所のインターネットカフェで時給4000ウォン(約280円)でアルバイトをしているというキムさんは
 「中小企業なら今すぐにでも就職できるところが幾つかあるが、3年もこうして過ごしたからには、大企業に入ってこそ親に顔向けできるし、周りの人にも堂々と名刺を渡せる気がする」
と話す。

 若者の失業が社会問題となっているが、雇用が絶対的に不足しているというわけではない。
 雇用労働部(省に相当)が今年6月に発表した統計によると、今年第1四半期(1‐3月)現在、11万4400人の雇用が余っているという。
 企業に対し、積極的に求人したにもかかわらず社員を採用できない理由を問うと、
 勤務条件が求職者の期待に及ばなかったため(22.5%)、
 求職者が避けたがる職種のため(17.2%)
といった回答が目立った。

 実際に、本紙がインタビューした10人ほどの大卒求職者は
 「中小企業は将来が不安」
 「中小企業勤務ではちゃんと結婚できない気がする」
 「勤務条件や環境が気に入らない」
といった理由で、時間がかかっても大企業に就職したいと話した。

 京畿道にある専門大を卒業したキム・ジュヒョンさん(28)は
 「水原市の中小企業に勤めていたが、給料や勤務環境が気に入らなかった。
 親にも、むしろ公務員試験の勉強をするよう勧められ、2カ月で退職した」
と語った。
 中小貿易会社で月給180万ウォン(約12万6000円)で働いていたイ・ギョンミさん(26)=仮名=は
 「大企業に勤める友人たちに会うたびにプライドが傷付き、8カ月で退職した」
と打ち明けた。

 就職情報サイト「サラムイン」のイム・ミンウク・チーム長は
 「大企業に比べ年収がやや低くても、発展の可能性が大きい中小企業がある。
 長期的に見ると、優れた中小企業がより大きなチャンスを与えてくれる」
と話している。




朝鮮日報 記事入力 : 2011/11/13 10:38
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2011/11/13/2011111300152.html

採用難にあえぐ韓国の中小企業
「『非正規雇用者600万人』は大企業だけの話」

 今月1日午後4時、「2011仁川雇用博覧会」が行われた仁川総合文化芸術会館。
 「太陽プラスチック」のキム・ギヨン取締役はブースで2時間待機したが、午後にブースを訪れた求職者は5人だけだった。 
 しかも、5人のうち1人は24歳だったが、残る4人は49歳、53歳(2人)、60歳の中高年者だった。
 キム取締役は
 「未経験者は月給170万ウォン(約12万円)、経験者は200万ウォン(約14万円)で、4大保険(年金保険・健康保険・雇用保険・労災補償保険)も保障される正社員なのに、志願者は5人しかいなかった」
と嘆いた。

 隣にあった「テソン鋳鉄工業」のブース。
 この日面接を受けた求職者は1人(46歳)だけだった。
 同社の給与は未経験者が月150万ウォン(約11万円)、経験者が200万ウォンだ。
 ブースで待機したチョン・イルヒョン次長は
 「あと5人ほど必要だ。十分使える社員を1年近く採用できていない」
とため息をついた。

 「非正規雇用者(パートタイマー、契約社員など)600万人時代(統計庁の発表)」
といわれるが、これはあくまでも大企業、いわゆる「いい会社」だけの話だ、と中小企業の関係者たちは指摘している。
 中小企業は正社員を雇用できず、悲鳴を上げているのが実情だ。
 今年6月、雇用労働部(省に相当)が従業員5人以上の企業3万1761社を対象に標本調査した結果、今年第1四半期(1-3月)に各企業が必要な人材を採用できなかった「未充足人員」は11万4400人で、昨年第1四半期(11万106人)に比べ3.9%増加した。

 こうした現象は、従業員が300人未満の中小企業でさらに顕著になっている。
 従業員300人以上の大企業の未充足人員は7635人で、昨年(1万1498人)に比べ33.6%減少したが、中小企業の未充足人員は10万6765人で、昨年(9万8583人)に比べ8.3%増加した。

 京畿道の安山・始興スマートハブ(旧半月・始華国家産業団地)でプリント基板(PCB)を製造する「ポインテック」社。
 サムスン、LG両グループの協力会社となっている同社は、1階のロビーに人工池があるなど、勤務環境が優れている。
 年俸は大卒の新入社員が2500万ウォン(約175万円)、高卒の新入社員が1800万-2000万ウォン(約126万-140万円)程度だ。
 しかし
 「製造・エンジニア部門の社員約10人を雇用するため、数カ月にわたって求人広告を出しているが、志願者は1人もいない」
という。

 2キロ離れた化学メーカーA社も似たような状況だ。
 人事担当者は
 「人材が5人ほど不足しているが、3カ月間1人も採用できていない。
 従業員が不足しているため、工場の稼働率は7割にとどまり、残業も午後8時30分まで行っている」
と話した。

 京畿道城南市のデジタル映像設備メーカー「ビューウォックス」は、毎年20%以上の営業利益率を達成している優良企業で、大卒の新入社員の年俸は3500万ウォン(約245万円)だ。
 しかし、キム・フシク社長は
 「求人がうまくいかないため、ベトナムのホーチミン市やハノイの大学を卒業した人を1人ずつ採用している」
と語った。

 地方にある中小企業の場合、状況はもっと深刻だ。
 多くの企業が定年を延長したり、工場を海外に移転したりしている。
 慶尚北道で繊維製品を生産・加工しているB社は昨年、人材不足に苦しんだ末、定年を55歳から58歳に延長した。
 また、定年を迎えた後も、本人が希望すれば契約社員として働けるようにした。
 一方、城南市のC繊維の関係者は
 「人材が足りなくても工場を稼働させてきたが、もはや限界に達した。
 社長が工場をベトナムに移転することを検討し、現地調査を行っている」
と打ち明けた。




朝鮮日報 記事入力 : 2011/11/13 10:32
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2011/11/13/2011111300144.html

経済成長は4%、雇用は1.2%増
雇用と成長に隔たりがあるワケ

 中堅企業グループの石油化学メーカーで社長を務め、最近同じグループの建設会社に移ったAさんは、2社の雇用状況の違いを目の当たりにして非常に驚いた。
 Aさんは
 「5000億ウォン(約350億円)を投資して石油化学工場を1カ所建設した場合、社員は10人ほど増やせば十分だ。
 ところが建設会社にやって来て、同じ額を使って住宅建設事業をすると、日雇いを含めて最低でも300人以上を新たに雇わなければならない」
 「電子、化学、鉄鋼など、工場の自動化が進む業種が多い韓国で、雇用を生み出せないワケを実感した」
と話す。

 企業と経済は成長を続けているが、国民の多くは仕事に就けず苦しんでいる。
 経済が成長すれば当然、雇用も生まれなければならないが、それが思い通り進まないというわけだ。 
 その主要な原因の一つは、Aさんが語るように、韓国経済の主力産業である
 IT(情報技術)や鉄鋼、自動車などの産業が雇用に及ぼす影響が非常に小さい
からだ。

主力の製造業は雇用拡大の効果薄

 韓国銀行によると、2009年の時点で基礎化学業種での雇用係数はわずか0.3人だった。
 その業種で売上高を10億ウォン(約7000万円)増やすのに、新たに雇う必要があるのはわずか0.3人という意味だ。
 これは自動車(2.3人)、金属(4.3人)、機械設備(3.1人)などほかの業種でも大差はない。
 2000年代半ばに建設業が好況だったとき、体感景気がやや持ち直した理由は、建設業の雇用係数が9.6人とほかの製造業に比べ比較的高かったからだ。

 ある元官僚は
 「韓国の成長戦略は、1970年代ごろまでは雇用の創出に有利な軽工業が中心だったが、それが後に、多くの
 雇用を伴わないハイテク産業や重工業中心に変わった
。 
 これらは輸出拡大には有利だが、雇用との相関関係は小さい」
と話す。

 韓国経済での成長と雇用の関係が小さいことは、数字からも確認することができる。
 統計庁の統計システムに公表された資料によると、ここ10年間に韓国経済は年平均4.1%の割合で成長したが、雇用は年間1.2%の増加にとどまった。
 この期間、韓国経済は1回もマイナス成長を記録していないが、就業者の増加率はクレジットカードの不良債権が社会問題化した2003年とリーマンショック直後の09年にマイナスを記録している。

企業の余裕資金は増えるも家計の余裕資金は減少

 これは、家計の所得にも直接の影響を及ぼしている。
 2004年から08年までの家計所得の増加率は経済成長率を上回った。
 しかし、リーマンショック直後の09年には家計の所得増加率は0.2%のマイナスを記録し、10年には4.2%のプラスに転じたが、それでも経済成長率(6.2%)を下回った。 
 成長の果実が雇用につながらないため、家計の所得も足踏み状態が続いているというわけだ。

 同じように、国民所得に占める労働所得が占める割合も減少している。
 通常は経済が成長すれば労働による所得の割合が高まるはずだが、韓国経済は逆の方向に進んでいる。
 朴昇(パク・スン)元韓国銀行総裁は「貧困化成長」をテーマにした論文で
 「国民所得に占める労働所得の割合を見ると、2005年には61%だったが、10年になると59%に低下した。
 経済が成長しても雇用を生み出すことができないため、一般の人が働いて手にする所得も一向に増えない」
と指摘している。
 貯蓄全体に家計の貯蓄が占める割合を見ると、00年には40%だったのが、09年には20%へと半減した。
 しかし、同期間に企業による貯蓄の割合は60%から80%に増えた。


 「貧困成長へのソフトランデイング」をいかにスムースになしとげるか、これが課題である。
 その時期にあって「上昇志向の韓国人が切り開く未来 」など、大声で鼓舞するものではない。




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