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● 主要国での保険料支払いに占める詐欺の割合
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朝鮮日報 記事入力 : 2011/11/05 12:06
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2011/11/05/2011110500573.html
保険詐欺が横行、取り締まりに甘さ
交通事故の入院率、日本の10倍
5万人が暮らす江原道太白市で、人口の0.8%に当たる410人が関与した大規模な保険詐欺事件が摘発され、大きな衝撃を与えている。
しかし、保険業界の関係者は「氷山の一角にすぎない」と口々に語る。
保険業界では、保険詐欺犯による保険会社や健康保険公団からの不正受給が年間3兆ウォン(約2110億円)に達すると推定している。
保険詐欺はますます知能化、組織化している。
最近は海外での交通事故をでっち上げ、保険金を請求するなど、国際化の様相も見せている。
専門家は政府と保険会社が積極的に保険詐欺を防止し、社会的な浪費を軽減すべきだと指摘する。
保険詐欺の年間被害額が2兆2000億ウォン(約1550億円)と仮定すると、1世帯(4人家族)で年間14万ウォン(約9800円)余計に保険料を支払う必要があるからだ。
■金融監督院の専門官わずか10人
保険詐欺が横行しているにもかかわらず、多くのケースが摘発されない理由はさまざまある。
まず挙げられるのが人材不足だ。
金融監督院で保険詐欺の調査を担当しているのは、1部署10人前後にすぎない。
同院関係者は
「疑いがある事例があっても、全てをチェックする意欲が起きず、犯罪の疑いが明らかなものを中心に調査するしかない」
と話した。
このため、軽い病気で入院するといった詐欺は見逃されることになる。
次に、入院期間が標準化されていないことも問題だ。
例えば、片方の足首を骨折した場合、標準入院期間を4‐6週間などと定めておけば、この条件から外れる患者の詐欺行為を疑うことができるが、基準が設けられていないため、医師が保険詐欺に加担すれば摘発は困難だ。
国土海洋部(省に相当)は「軽傷患者入院基準」をすでに取りまとめているが、いまだに告示していない。
医療関連団体が「医療の自律性を損ねる」と反対しているためだ。
■「太白事件」の処理に10カ月
保険詐欺の摘発は、一つの機関が全部を背負い込むことはできないという組織的な問題も抱えている。
金融監督院、検察、警察、健康保険審査評価院、国土海洋部が絡んでいるため、情報を共有し、協力体制を構築することが欠かせない。
太白事件の場合、金融監督院が通報を受け、保険会社が保険詐欺認知システム(IFAS)によって分析した結果、詐欺の可能性が高いことが判明した。
その後、太白警察署に通報し、病院の家宅捜索で入手した診療記録を健康保険審査評価院に送り、判別手続きを踏む必要があった。
このため、今年2月の通報から警察の立件までに約10カ月を要した。
検察や警察の捜査意欲も低い。
捜査当局者は
「詐欺犯の身柄を拘束することはほとんどなく、実績にもならないため、保険詐欺犯の検挙に全力を挙げることはない」
と話した。
法定最高刑は懲役10年だが、大部分は執行猶予や罰金刑にとどまり、実刑が下されるケースは非常にまれだ。
■手をこまぬく保険会社
保険会社37社は業界独自に保険詐欺特別調査チーム(SIU)を設置しているが、調査要員は約400人にとどまっている。
ある損保関係者は
「顧客を増やすための営業に比べれば、保険詐欺の摘発は相対的におろそかにされる」
と語った。
また、金額が少なければ、詐欺が疑われても放置されるケースが多いという。
韓国の保険会社が保険プランナーに依存して営業していることも、保険詐欺を助長する一つの要因となっている。
保険商品の構造を熟知している保険プランナーは、親族名義で保険に加入し、虚偽や故意による事故を起こし、保険金を受け取るケースがあり、大きな弊害となっている。
太白事件でも、立件された410人のうち72人が現役または元の保険プランナーだった。
生命保険協会の関係者は
「保険を熟知している人が多いため、他国に比べ保険犯罪が多いのは仕方ない」
と語った。
■保険詐欺摘発の専門機関が必要
このように保険詐欺が摘発されにくい状況にあるため、さらに詐欺行為が増えているのも事実だ。
サムスン金融研究所によると、保険金支払い額に占める詐欺の割合は韓国が13.9%で、割合だけで見ると、詐欺被害額が年間1200億ドル(約9兆3900億円)に上る米国(10%)よりも高い。
フランス、カナダ(6%)に比べれば2倍以上だ。
日本では保険詐欺の割合が1%に満たない。
日本では交通事故時の入院率が6%で、韓国の約60%の10分の1にすぎない。
専門家は保険詐欺を専門的に扱う機関の設置が必要だと指摘する。
米国には各州の金融当局に保険詐欺防止局(IFB)という専門組織がある。
韓国でも、ハンナラ党の高承徳(コ・スンドク)国会議員が「保険詐欺予防院(仮称)」の設置を盛り込んだ保険業法改正案を提案したが、処理は進んでいない。
金融監督院のイ・ジョンウク保険調査室長は
「調査要員を増員し、専門機関を設置するといった措置を講じなければ、ますます知能化、組織化する保険詐欺を根絶できない」
と指摘した。
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朝鮮日報 記事入力 : 2011/11/05 12:04
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2011/11/05/2011110500570.html
住民が集団で保険詐欺
廃鉱の街で何が
江原道太白市で400人余りが関与した保険詐欺事件は、生活苦の住民が容易にカネを稼げるという誘惑に負け、地域社会に急速に広まった。
同じ犯行を繰り返し、罪の意識も希薄になっていた。
関与した住民の大半は、保険プランナーや病院から保険詐欺の手口に関する情報を得ていたことが明らかになった。
■偽患者と病院の利害関係
元保険プランナーの女性(46)は、2005年から07年にかけ、6件の保険に加入した。
07年10月ごろ、女性は「交通事故に遭った」として病院を訪れ、入院手続のみを行って立ち去り、そのまま日常生活を送った。
書類上で入院したことにする手口だ。
女性は入院期間が3週間程度になると、退院手続きをし、入退院確認書を保険会社に提出して、保険金を受け取った。
単純な捻挫の場合、病院1カ所での入院期間が3週間を過ぎると、健康保険公団から病院への療養給付手続きがややこしくなることを熟知していたからだ。
女性は今回の事件で問題となった病院3カ所で、1-2週間ずつ「入院」する手口で、計15回にわたり、保険金8500万ウォン(約600万円)を受け取った。
病院側もそれを知っていた。
しかし、偽患者は保険金を、病院は療養給付を受け取れるため、利害関係が一致し、犯行が可能となった。
典型的な「患者転がし」の手口だ。
■保険プランナーと貸金業者が手ほどき
太白市内で飲食店を営む女性(56)は、10年前から保険15件に加入していた。
当初は保険詐欺を狙ったものではなかった。
しかし、この女性も普段から親しくしていた保険プランナーから「たやすく保険金がもらえる」とそそのかされ、05年2月に「山で転んだ」という理由で病院を訪れた。
その後、この女性は今年3月に腰痛や胃潰瘍などの理由で41回にわたり入退院を繰り返し、保険金3億3300万ウォン(約2320万円)を受け取った。
入院期間も女性は飲食店で働いていた。
ギャンブルで約1億ウォン(約700万円)の借金があった男性(63)も、07年から08年にかけ、5件の保険契約を結んだ。
男性は保険プランナーから保険詐欺について情報を得て、保険に加入したと供述した。
08年5月に初めて偽患者として入院した後、男性は14回にわたり、3カ所の病院に入院し、保険金4100万ウォン(約290万円)を受け取り、借金返済や生活費に充てた。
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