2011年11月7日月曜日

スーパーコンピューターの開発、そして販売

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● 次世代スーパーコンピュータ筐体




ロイター 2011年 11月 7日 15:43 JST
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK065595620111107

富士通、世界最速「京」の技術採用したスパコン販売

 富士通は7日、新型スーパーコンピュータの販売を世界で開始すると発表した。
 6月に世界最速の計算速度を達成した次世代スパコン「京(けい)」に採用した技術を向上させた製品で、出荷開始は2012年1月を予定。
 価格は約5千万円からで、今後3年間で50システムの販売を目指す。

 新製品「PRIMEHPC(プライムエイチピーシー) FX10」は、「京」の技術を発展させ、富士通が単独でプロセッサからソフトウェアまで開発した。
 地震や気象現象の解析、新エネルギー開発、新薬開発や医療研究などでの利用を見込む。 
顧客の要望に応じて、導入しやすい筐体(きょうたい)1台から大規模な計算処理が実現できる1024台までラインアップが可能。
 官公庁のほか、民間企業など幅広い需要の獲得を狙う。

 「京」は理化学研究所と共同開発を進めている次世代スパコン。
 6月には、毎秒8162兆回の計算をこなし、スパコンの計算速度ランキング「トップ500」で世界一を獲得した。
 今月2日には目標としていた毎秒1京(京は1兆の1万倍)回を超える計算速度を達成したと発表、名実ともに「京」を実現した。
 1京回突破は世界初。

 スパコンは国家レベルの次世代技術開発や企業競争力の強化に不可欠となっている。
 気象や災害などの予測が可能になり、防災・減災の実現につながるほか、レアメタルや石油などの資源探査も効率的かつ高速にできる。 
 すでに実績のある日本、欧州での販売を強化するほか、新興国などでもビジネス展開を狙う。
 自動車や衣料の生産などで、部品・素材段階での設計・デザインのシミュレーションにも生かせるとして、企業向け需要拡大も図る。

 スパコン事業を担当する山田昌彦・テクニカルコンピューティングソリューション事業本部長は説明会で、
 「世界一というメッセージが広がっており、富士通の名がまだ知られていないような地域から問い合わせがきている」
と説明。
 アラブやアジア圏、ブラジルなど国家的プロジェクトが多数進行中の国・地域でも今後、受注したい考え。

 富士通のスパコン事業は現在、国内かつ官公庁向け需要がほとんどで、世界シェア2%、売上高は160億―200億円にとどまっている。
 2015年にはクラウドサービスなども含めて世界シェア10%、売上高1千億円まで伸ばす計画。
 このうち、今回の新製品は3百億円を見込む。
 同社の予測では、今後スパコン市場は年7.6%成長する見通しで、2015年には1兆円市場に拡大、サーバ全体の25%を占めると予測している。



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 <NEC、省エネスパコン開発に着手>
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 NECは同日、省エネを特長とした新型スパコンの開発に着手したと発表した。
製品化は2013─14年を予定している。
CPU(中央演算処理装置)などの全機能を1チップに集約したオールインワン・プロセッサを搭載。
消費電力は現行機に比べ10分の1、設置面積は同5分の1に削減することを目指す。

 業務用冷蔵庫ほどの1台の大きさは小型プリンター程度に小型化する。
価格も従来の5分の1に抑える見込みで、日本や欧州を中心に販売する。
これまでは1台の価格が約1億円で、冷却電気代などの維持費にも数億円かかっていた。

 NECが開発するのは海洋研究開発機構の「地球シミュレータ」などに採用されている「SXシリーズ」の次世代機。
1秒間に約1兆5000億回の計算能力を持つ。同シリーズはこれまで、ドイツやフランスの気象当局などに累計1,400台超を納入してきた。



 Wikipediaより。

京 (スーパーコンピュータ)

 京(けい、英:K computer)とは、文部科学省を中心に開発が進められている次世代スーパーコンピュータシステムの名称(愛称)である。
 従来は「次世代スーパーコンピュータ」、「汎用京速計算機」、「京速」などと呼ばれていた。
 理化学研究所次世代スーパーコンピュータ開発実施本部を開発主体として、総事業費約1120億円を投じ、2012年(平成24年)の運用開始時に理論演算性能10ペタフロップス(演算速度は毎秒1京回)の達成を予定している。
 2011年6月、LINPACKベンチマークにおいて8.162ペタフロップスを達成し、TOP500リストの首位を獲得した。

 次世代スーパーコンピュータプロジェクトは、2005年(平成17年)に文部科学省と理化学研究所で開始され、2006年(平成18年)に国家プロジェクトとなった。
 プロジェクトの目的は、過去に世界最高性能を記録した数値風洞、CP-PACS、地球シミュレータに続くナショナル・リーダーシップ・スーパーコンピュータの構築、およびプロジェクトを通じた計算科学・計算機科学分野の人材育成である。
 今後5-10年の計算需要に基づき、性能目標のひとつとしてLINPACKベンチマークでの10ペタフロップス達成を掲げている。

 特定分野に特化した専用機ではなく、幅広い用途に応用できる汎用計算機である点を特徴としている。
 当初はベクトル機・スカラ機からなる複合型を計画していたが、2009年5月のNECの撤退により、スカラ型に設計が変更された。
 現在、TOP500で上位の計算能力を持つスーパーコンピュータの多くがx86系もしくはPower系のCPUを採用しているが、CPUのSPARC64TM VIIIfxおよびTofuと呼ばれる6次元メッシュ/トーラスのインターコネクトなど、富士通が開発した国産技術で構成されていることも特徴である。







動画で見る : 富士通
http://jp.fujitsu.com/about/tech/k/movies/



 スーパーコンピューターというのはお金さえ払えばだれでも買えるシロモノになった、ということが大切である。
 今はそれを作るというより、
 如何に使いこなせるかということに焦点が移って
いっている。
 1秒間に1京回の計算ができれば、それが2番であってもいいということになる。
 つまり基準を達成すれば、まずはハードの役目は終る
 量産できれば値段は急速に低下していく
 次はそれを如何に使いこなせるかということにかかってくる。
 舞台はそれを売り込むための周辺づくりに入ってきている。

 例えばマツダの技術陣は、旧親会社のフォードよりのお達っしでハイブリッドの開発ができなかった。
 そこで向かったのが既存エンジンの高度化。
 が、通常の開発スタイルでは不可能。
 なぜなら、エンジンは技術的に完成品の域に達していたから。
 そこで人間にとっての完成レベルを打ち破るために用いたのがスーパーコンピュータによるシュミレーション。
 様々な方法をシュミレーションして到達したのが「スカイアクテイブ」
 スーパーコンピュータとは既存限界を打ち破るために、今後使われていくであろうし、そうすることが求められているということであろう。
 そういう目的でスパコンが販売され、お金さえだせば誰でもりようできるとなると、後はそこから
 何が生み出せるか、
ということにかっかっってくる。
 スカイアクテイブはその典型例であろう。



BPニュースセレクト 2011/11/7 23:00
http://www.nikkei.com/tech/trend/article/g=96958A9C93819499E2E5E2E0998DE2E5E3E3E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;p=9694E0E7E2E6E0E2E3E2E2E0E2E0

富士通が「京」ベースの商用スパコンを販売、16コアの新チップ

 富士通は2011年11月7日、16コア搭載の新型SPARCプロセッサを採用したスパコン「PRIMEHPC FX10」を2012年1月に発売すると発表した。
 理化学研究所と共同開発するスパコン「京」をべースに、コア数を2倍にした新チップを搭載。
 設置面積を「京」の約半分に減らせるほか、低コスト化にも寄与したという。今後3年で、海外を含めて50システムの販売を目指す。

 海外市場において同社が当面のターゲットとして狙うのは、欧州の公共系システムの市場である。
 「最も適しているのは、社会的な責任が重いシステム。
 例えば気象予報向けスパコンは、システムの停止が国民に与える影響は大きく、止まることは許されない」(同社 テクニカルコンピューティングソリューション事業本部の山田昌彦本部長)。

 その後はアラブ経済圏や東南アジア諸国、ブラジルなどの市場も開拓する。
 富士通は2015年までに、PCクラスター型も含めて世界のスパコンシェアで現状の5倍となる10%、年間1000億円の売り上げを目指す。

■最大構成では「京」の2倍の性能

 機種は「シングルラック型」と「マルチラック型」の2種類を用意する。冷却方式はいずれも直接水冷である。

 シングルラック型は日本市場専用の入門機で、1ラック限定で最大20.2テラFLOPSまで拡張できる。
 価格は約5000万円から。
 「京」の利用を想定したアプリケーションソフトの開発にも使えるという。

 マルチラック型は、最小4ラックから最大1024ラックまで拡張できる。
 価格は個別相談だが、1ペタFLOPS当たり50億~70億円を想定する。
 「PCクラスタに対抗できる価格帯に設定した」(富士通 次世代テクニカルコンピューティング開発本部の追永勇次本部長)。
 1024ラック構成での理論演算性能は「京」の約2倍となる23.2ペタFLOPS、メモリー容量は6.291ペタバイトとなる。

■プロセスルール40nmを採用

 今回開発した「SPARC64 IXfx」は、従来の「SPARC VIIIfx」をベースに、コア数を8から16に、プロセスルールを45nmから40nmに変更したチップ。
 台湾TSMCに初めて製造を委託する。
 コア数は2倍となったが、プロセスルールの変更と回路設計の最適化でダイサイズの肥大化を抑えたという。
 「このタイミングで使える最先端が40nmだった。将来は当然、28nm技術の利用も検討する」(追永本部長)。

 動作周波数は最大1.848GHz。
 チップ単体の理論演算性能は236.5ギガFLOPSで、従来チップの約1.8倍である。
 1ラック当たり積めるチップ数は「京」と同じ96個なので、1ラックで「京」の約1.8倍の性能を実現できる。

 チップ当たりの消費電力は110W。
 ワット当たり性能は約2ギガFLOPS/Wで、従来チップとほぼ同等である。
 メモリー転送容量は85Gバイト/秒。
 L1データキャッシュとL1命令キャッシュはそれぞれ1コア当たり32Kバイト、L2共有キャッシュは12Mバイトである。

 チップ間を接続するインターコネクトは「京」と同等で、転送速度は5Gビット秒×2(双方向)。
 ミドルウエアやコンパイラは、「京」向けに開発したソフトウエアをベースに、「京」向け専用機能を取り除いたソフトを用意するという。

(日経コンピュータ 浅川直輝)
[ITpro 2011年11月7日掲載




ロイター 2011年 11月 14日 18:25 JST
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK066346220111114

富士通が東大からスパコン「京」の普及機で初受注

 [東京 14日 ロイター] 富士通は14日、新型スーパーコンピュータシステムを東京大学から受注したと発表した。
 サーバーなど周辺の機器を含めた受注額は50億円。同スパコンは理化学研究所と共同で開発を進め、世界最速の計算速度を達成した「京(けい)」の普及機で、今回が初めての受注となる。

 受注したスパコン「PRIMEHPC(プライムエイチピーシー) FX10」は50台の筐体(きょうたい)をつないだもので、1秒当たり1130兆回の計算ができる。
 東大では情報基盤センターで2012年4月から稼働させ、気象や地震、物理、エネルギーなどの科学技術分野での先端研究や教育に活用する予定。
 富士通では今後、国内外で同スパコンを売り込み、今後3年間で50システムの販売を目指す。




CNNニュース 2011.11.15 Tue posted at: 11:26 JST
http://www.cnn.co.jp/tech/30004593.html

スパコン世界ランク、「京」が計算速度トップを維持

(CNNMoney) 
 14日に発表されたスーパーコンピューター(スパコン)の計算性能の世界ランキング「TOP500」で、理化学研究所と富士通が共同開発している「京(けい)」がトップを維持した。
 ランキングは毎年6月と11月に改定されている。京は前回に続いてトップに立った。

 京の計算速度は前回からアップグレードが進んで10.51ペタフロップス(毎秒1京510兆回、1ペタフロップスは1秒間に1000兆回の浮動小数点演算ができる能力)となり、2位(中国の天河1A号)の4倍となった。

 一般的なコンピューターで用いられるインテル製プロセッサーの計算速度は、最速のもので109ギガフロップス(毎秒1090億回)。
 京は通常のパソコンの9万6000倍の速度で演算処理を行う計算になる。

 今回発表されたランキングは、1位から10位までの順位が前回と同じ結果となった。
 上位10機の変動がなかったのは1993年に発表を開始して以来初めて。
 国別に見ると上位500機に最も多くエントリーしたのは米国で、中国がこれに続いた。



sankeibiz.jp 2011.11.16 05:00
http://www.sankeibiz.jp/business/news/111116/bsj1111160503000-n1.htm

スパコン「京」、世界一防衛 毎秒1京510兆回計算

 スーパーコンピューターの性能ランキング「TOP500」が米国で14日に発表され、理化学研究所と富士通が共同開発した「京(けい)」が6月の前回に続き、首位を維持した。

 京はCPU(中央演算処理装置)の増設で6月時点より1.3倍の高速化を実現。
 世界で初めて毎秒1京(1兆の1万倍)回を超える1京510兆回の計算速度を達成し、2位の中国のスパコンより約4倍も速く、圧勝となった。
 3位は米国製。

 連覇は、日本の科学技術力の高さを改めて世界に示し、日本のスパコンビジネスを飛躍させる上で大きな弾みとなる。
 富士通は「京」の技術を活用した普及機を開発し、10年ぶりの輸出再開も視野に入れる。

 スパコンはIBMなど米国勢が過半数のシェアを握る。
 1990年代には米国と並ぶ「スパコン大国」といわれながら徐々に存在感を失った日本にとって「世界一」の称号は大きい。
 富士通は売上高が200億円程度のスパコン事業を、15年度には1000億円まで増やす計画だ。

 「京」は2012年11月の本格稼働後は企業にも貸し出され、日本の産業競争力を取り戻す重要な使命も帯びる。
 ただ、世界ではスパコンの開発プロジェクトが目白押しで、その地位は安泰ではない。
 今後も続く各国との激しい性能競争に勝ち抜くだけでなく、目に見える成果も求められている。








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