2011年10月29日土曜日

談論世代とトーク世代:“敵との同居”

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朝鮮日報 記事入力 : 2011/10/29 13:15
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2011/10/29/2011102900562.html

現在の20‐40代は「知能型のアンチ」
マルチメディアを活用し、政界や選管までも冷やかしの対象に

 今回のソウル市長選挙で、20‐40代の有権者たちは既成社会を冷やかしの対象にした。
 以前の世代は社会に対する批判や怒りを火炎瓶や角材で表したが、最近の20‐40代は投票行為を通じ、これまでの政治を冷やかしたり、風刺したりしたというわけだ。

 この世代が活動の場としたのは、「ツイッター」などのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)だ。
 こうしたマルチメディアを利用した新たなコミュニケーションに慣れた世代は、今回の選挙でもSNSを十分に活用し「水面下の選挙運動員」として存分に活躍した。

  SNSのユーザーたちは、投票を呼び掛ける行為に対し取り締まりに乗り出した中央選挙管理委員会(選管)も冷やかしの対象にした。
 選挙当日にツイッターで
 「投票しよう」と呼び掛けるのは違法だが
 「投票した」と書きこむのは合法だ、
という選管の発表に対し、ユーザーたちは
 「では『投票したか』と聞くのは合法か ?」
などと応戦した。
 これに野党・民主党など既成政党も加勢し 
 「SNSを利用した選挙運動で告発された場合、法律支援団を派遣し支援する」
とあおった。
 国家の公権力の基本といえる選挙管理業務までも、SNSのユーザーたちにとっては冷やかしの対象でしかなく、彼らに便乗して選挙戦を有利に進めようとする政党にとっても利用する対象となった。

 タンジ日報のキム・オジュン社長や、統合民主党(現・民主党)の鄭鳳株(チョン・ボンジュ)元議員など4人が主宰し「政治風刺ショー」を標榜するインターネット放送『私はコムス(けちな手段・方法の意)だ』も、今回の選挙で一役買った。
 今回の選挙で流行したスローガンは、キム氏の著書のタイトル『黙って政治』をパロディー化した「黙って投票」だった。
 これに賛同した20‐40代の有権者たちは投票所に足を運び、そのうちの70%が朴元淳(パク・ウォンスン)氏に投票して
 「投票によって世の中を変えられる喜びを感じた」
と主張した。

 ソウル大の郭錦珠(クァク・クムジュ)教授(心理学)は
 「今回の選挙の過程で表れた若者たちの特徴は『知能型のアンチ』という点だ。
 高い学歴を有し、メディアを通じて武装した彼らは、既存の政党政治を完全に武装解除した」
と指摘した。





朝鮮日報 記事入力 : 2011/10/29 12:55
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2011/10/29/2011102900552.html

ソウル市長選:世代間交流の途絶

 慶煕大学に在学中のイさん(24)=女性=は、朝起きるとすぐに携帯電話で簡易投降サイト「ツイッター」にアクセスする。
 ツイッターには毎朝、フォロワー(登録読者)が送信したその日のホットイシューが関連記事と共にアップされている。 
 イさんは「今回のソウル市長選挙でも、候補の情報はほとんどツイッターで知った」と話した。
 ナ・ギョンウォン候補の「皮膚科クリニック」問題、朴元淳(パク・ウォンスン)候補の「大企業協賛」問題などに関する記事を見て、ほぼ同時にツイッターで「私も通いたい」「ええっ」などと短いコメントをつぶやき、お互いに意見を交換したという。

 イさんのように、インターネットと共に成長した今の20‐30代の若者は、しばしば「SNS(ソーシャルネットワーク・サービス)世代」と呼ばれる。
 イさんの友人たちの多くは、新聞やテレビの編集済みニュースになじんでいない。
 このため、偏向的かつ一方的な情報に振り回されやすい。
 新聞やテレビを通じて情報を入手し、考えを整理した後に自分の意見を主張する50‐60代とは、情報収集や交流の手法が完全に異なっているわけだ。
 韓国のSNS加入者は、今年9 月現在で1500万人を超えた。

 金文朝(キム・ムンジョ)高麗大学教授(社会学科)は
 「50‐60代が理性的な談論世代だとすれば、
 SNSを積極的に活用する20‐30代は感情的なトーク(対話)世代
 両者は文化的に大きく異なる別の種族
と語った。

  20‐30代は、SNSを通じ 「自分たちだけの世の中」を作り出している。
 今年4月21日、歌手ソテジと女優イ・ジアの離婚訴訟がニュースになったとき、 SNSは「ソテジ・BBK」疑惑であふれ返った。
 これは、2007年の大統領選挙で李明博(イ・ミョンバク)候補(当時)の株価操作関与疑惑(投資顧問会社BBKによる株価操作疑惑。BBK設立者の在米韓国人は李大統領と関わりのある人物だった。
 投資顧問会社の名前からBBK疑惑と呼ばれる)を担当していた捜査チームがあるメディアを告訴したが、裁判所は原告敗訴を言い渡し、これを隠蔽(いんぺい)するために大統領府(青瓦台)と国家情報院がわざとソテジ事件をリークしたというものだ。
 既存のメディアは、この疑惑をでたらめな陰謀説と見なしたが、SNSではほとんど既成事実化された状況だった。
 SNS内での意見交換の流れが、そうした一定の方向に収束していったからだ。

 北朝鮮が引き起こした韓国海軍哨戒艦「天安」爆沈事件もまた同様だった。
 海外の専門家までが参加した多国籍調査団は昨年、報告書を通じて
 「天安は北朝鮮の魚雷に当たって沈没した」
と発表したが、多くの 20‐30代はこれを認めず、SNSで自分たちだけのさまざまな結論を下した。

 今回のソウル市長選挙で朴元淳候補を支持した一部のインターネット放送が、20‐30代の若者層にある程度の影響力を行使しできたのも、これらの放送が「トーク世代」の特性を取り込んだからとの指摘がある。
 司会者たちが軽い興味中心の会話を繰り広げ、各種の懸案を説明するスタイルが、SNS内の対話に似ているというわけだ。
 40代は、20‐30代と50‐60代の間に挟まれた世代だ。
 ソウル大学のチョ・グク教授と小説家の孔枝泳(コン・ジヨン)氏はどちらも40代を代表して、SNSを通じ現代の 20‐30代の雰囲気を40代に伝える役目の先頭に立っている。

 金文朝教授は
 「現在の状況は単なる“世代の差”ではなく
 互いをほとんど理解できない“敵との同居”に近い状況
と語った。
 20‐30代と50‐60代との間の対話チャンネルが開かれない限り、世代戦争はますます激化せざるを得ない。





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